相生橋で

材木筏(いかだ)が つながれて
小舟が のんびり のぼってた
春には さくらの はなびらが
川面を飾って ゆれていた
相生橋をわたるたび 子供にかえるよ父さんは
つり竿ならべてフナを釣り 橋で遊んだあの頃の

くずれた欄干(らんかん) 撫でたとき
焼かれた 電車が 泣いてたよ
おまえの うまれた ふる里にゃ
涙の歴史が あるんだよ
原爆ドームみるたびに 祈っているんだ父さんは
この街埋めた悲しみが 二度と地球にないように

あの頃 みたいに ハゼが釣れ
あの頃 みたいな 水のいろ
あの頃 なかった 球場に
もうすぐナイターの 灯がともる
親子で座るスタンドで しみじみ偲ぶよ父さんは
炎に倒れたじいちゃんも とても野球が好きだった
この街埋めた悲しみが 二度と地球にないように…
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