落日

心が痛くて眠れない夜があって
宇宙にひとりしかいないみたいな気がして
頭を掻いて 布団を蹴っ飛ばしたら
時計の音がやけにうるさく聞こえた

世界は広くて
出会いとかたぶん奇跡で
言いたいことまとまらないけど
ここにいていいかな

どれだけの色で描いたら
あのオレンジを映すその目に足りるだろうか
きみのことなんて知りたくなかったな
星が降る街で起こったこと
その全部が輝くこと

心が痛くて眠れなかった朝があって
薬もらって昼まで寝てたら意外と治って
咳をしてひとり あれ寂しかったよってふたり
それがもう宇宙の全部みたいな気がした

世界の広さに気づかないくらい近くで
ただ名前を呼んでほしいんだ
それだけでいいから

どれだけこの手を伸ばしたら
そのポケットのなかの温度に届くだろうか
きみのことだって知りたくなかったな
夜明け前に見えた光のこと
目を閉じても消えないこと

どれだけの色で描いたら
あのオレンジを映すその目に足りるだろうか
ほかのことなんて知りたくなかったな
星が降る街に残ったこと
眩しいくらい輝くこと
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