君の居ない目覚めに

冬の終わりに見た君は
確かに僕と居た君だ
君は忘れたのだろうか
確かに居た僕らを

未だに分からないままだ
君を貶せる筈もない
愛想を尽かされただとか、
そんな事じゃないだろ

注いだ水を一息で飲み干そうとしたけれど
酷く咽せた
咳は治らないままに嗚咽に変わってゆく

答え合わせなどいいから、なんてことはない

嘘じゃないよ、本当だよ
やけに素直に信じたなぁ
「それだけじゃないよ、私達はもう一度出会うの」
思い出した君の言葉を噛まずに呑んで仕舞え
君に逢いに僕は発つ
いづこも同じ秋の夕暮れ

君は、どうだろう

空に足を着けたような
葉を空に散らしたような

どうせなら最後にもう一度
桜の木を過ぎる

足跡は遺らない、でも、もう、それで良い

「嘘じゃないよ、本当だよ、私達はまた出会うの」
あぁそうだね、僕もそう思うよ、だから、もう僕ら
思い出した君の言葉を噛まずに呑んで仕舞え
君に逢いに僕は発つ
いづこも同じ秋の暮れを見る僕の目に君が居る
覚えているだろうか
散らない桜を二人、探しに行こうと言った事を
君は、どうだろ
ねぇ、僕はさ、
ねぇ、今もさ、

君に逢いに発つ秋の暮れ
×