風の追分け渡り鳥

赤城おろしにゃ 未練はないが
故郷ふりだし しのび足
生まれ在所の 嬬恋(つまごい)宿で
斜(はす)に笠さす 上州路
明けの朝霧 背にうけて
風の追分け 渡り鳥 アァ渡り鳥

青いすすきを よこちょに噛んで
切れた草鞋の 紐をとく
流れ千曲の 旅空夜空
月があと追う 信州路
人に言えない 夢ひとつ
野暮は承知の 渡り鳥 アァ渡り鳥

あかね夕日が 山並み染めりゃ
塒(ねぐら)帰るか 雁でさえ
縞の合羽と 振り分け荷物
抱いて添い寝の 甲州路
やけに恋しい おっ母さん
風の追分け 渡り鳥 アァ渡り鳥
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