幼な友達

あなたは今でも覚えているかな
古いミシンの陰にかくれて
私のおでこに手をあてながら
熱があるねと ひそひそ遊び

あれからいくつも春を数えた
うつむきながら街で会うでしょう
予備校帰りのあなたの背中
私の胸は ドキドキ熱い

こっちを向いて お願いだから
大人になった恋に気付いて
欲しいものなど何もないけど
ただあなたの指先にふれたいの

情けが取得の下町育ち
路地を走ればすぐ隅田川
夕ごはんだよと誰かが呼べば
おみやげみっつ 背中に痛い

大人の映画の真似したキスに
足がふるえた想い出もある
今よそよそしく あいさつしてる
あのくちびるがとても愛しい

こっちを向いて お願いだから
大人になった恋に気付いて
欲しいものなど何もないけど
ただあなたの指先にふれたいの
×