中庭のヘビイチゴ

僕らは同じ年に 同じ町で生まれた
君の家は 僕の家の2軒隣にあって
学校上がるまではよく君の家の中庭で
日が暮れるまで 一緒に遊んでた

君は言葉を覚えるのが少し遅くて
言いたいことを上手く伝えられない事もあったけど
僕は君と他の人の違いなんてもの
その時は何にも 感じていなかった

学校上がると僕らは別々のクラスに
君は学年で2人だけの特別なクラス
それがどういう事なのか分かり始めた頃
僕らの 関係は変わっていった

君の家の中庭になったヘビイチゴの実を
君は小さな指でつまんで僕に食べさせた
意味を知らないキスを興味本位で交わしたよね
夕日の色を まだ覚えているよ

偏見ていう言葉を僕はまだ知らなかったけど
学校の友達が君を見る目が多分それで
僕も同じように君を見るようになり
あの中庭に 行くこともなくなった

通学途中で君は僕を見かける度
走って近づいて来て笑いかけるのだけど
僕は君にひどい言葉を投げつけて
つなごうとしてきた手を振り払った

段々と君は僕に近づいて来なくなったけど
僕を見ると笑いかけるのはやめなかった
そんな君を無視し続けているうちに
学校出てこの町を出る歳になってた

君の家の中庭になったヘビイチゴの実を
君は小さな指でつまんで僕に食べさせた
記憶の味はとても甘い筈なのに
下の奥で苦さを感じてる

大人になってこの町にまた戻って来た時

君の家の前を通り君の声を聴いた
悲しく大きな声で何かを叫んでいた
胸の奥を引っかかれるような気がして
慌てて逃げるように立ち去った

君の家の中庭になったヘビイチゴの実を
君は小さな指でつまんで僕に食べさせた
記憶の味はとても甘い筈なのに
下の奥で苦さを感じてる

君の家の中庭になったヘビイチゴの実を
君は小さな指でつまんで僕に食べさせた
意味を知らないキスを興味本位で交わしたよね
夕日の色を まだ覚えてるよ
夕日の色を まだ覚えてるよ
夕日の色を まだ覚えてるよ
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