父さんのウイスキー

日暮れになると いつでもひとり
背中をまるめて 飲んでいた
無口な父さん だったけど
わたしの知らない 母さんの
話は笑顔で してくれた
残ったままの ウイスキー
聞きたいことは まだまだあったのに

グラスを揺らし 音立てながら
あなたの真似して 飲んでます
今さらわかった 父さんの
淋しい気持ちに よりそえず
何度も喧嘩を しましたね
残ったままの ウイスキー
ごめんなさいが 言えないままなのに

日暮れになると 氷の音が
聞こえてくるよな 気がします
心配ばかりを かけたこと
わたしによく似た 母さんと
いまごろ話して いるのかな
残ったままの ウイスキー
ふたりでいつも わたしを見ていてね
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