ぼくのお話

わしは楽屋の中の 古い机さ
いろんな人の話 わしは知っている
スターのあの娘はとても とても人気もの
わしに肘つきそっと 一人つぶやいた

私はひとりぼっちね 恋する暇もないわ
そうさあの娘も ただの可愛い
どこにもいるような 一人の娘

わしは駅前の 赤い電話なのさ
若い二人の恋を 話してあげよう

あの娘の白い指が ダイヤルを回し
毎日二人は逢った 夏の夜の街を

やがて冬がやってきて 涙声したあの娘
そうさ 二人の恋は終った
あの娘も二度とやってこないだろう

わしは街角の 青いポストなのさ
いろんな人達が 速達落して行く

遠く嫁いでいった たった一人の娘
故郷(ふるさと)に残された 年老いた男と女

春がまたやってきました
山の端(は)がとてもきれいです
そうさ月並の言葉だけれど
とても大事な 大事な手紙さ

僕の知ってる事を あなたに教えよう
僕の知ってる事を すべて話ししよう

僕の知ってる事を あなたに教えよう
僕の知ってる事を すべて話ししよう
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