不登校少年少女のエチュード

携帯電話のアラーム
止めて夕方5時のストレッチ
部屋から出られない僕が
窓を少しだけ開ける

下手くそな君が奏でる
でこぼこ道のような10分間
昨日と何が違うかな
息を潜める

もしも君がピアノをやめたら
僕のいる部屋は箱になって
鍵が閉められるだろう
もしも君がピアノをやめたら
色褪せた景色が灰になった
世界に1人だけ

携帯電話のアラーム
サボってるとママに怒られる
全然上手くならないし
わたし向いてないのかな

毎日おんなじ世界で
少しずつ進んでく10分間
明日は多分弾けるから
今日はおしまい

もしもわたしがピアノをやめたら
地球は変わらず回って
大人になるのだろう
もしもわたしがピアノをやめたら
つまらない毎日がまたひとつ
つまらなくなるだろう

ラララ…

もしもわたしがピアノをやめたら
次の曲を待つアンコールは
聞こえてくるのかな
もしも君がピアノをやめたら
君に聞こえるような手拍子を
ありがとうの花束を
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