春へ

君が居た街に春風が吹いた
あの日の記憶は残ったままで

君に逢えなくなってから、どれだけが経つだろう?
季節を数える癖はあの日と同じ
君と歩いたこの道と
君が好きな花の香り
何も変わらない街を色付けた

追いかけた青と、ぎこちなく握った手
焼き付いた日々が首を絞める
言葉は言えずに君はもう見えずに
揺れる秒針は笑った

君が居た街に春風が吹いた
あの日の記憶は残ったままで
過ぎ行く時間の巻き戻しは効かずに
僕ら、大人になってしまった

読まなくなった漫画も
乗らなくなった自転車も
君から貰ったあの言葉も、なんだかんだで捨てられなかった
いつも聴いていた、あのバンドは昔より随分売れている
高い声で歌う愛の歌
こっそり君と重ねたりした

伝えられなかったあの言葉
拭えぬ後悔、過ぎてく日々
今更君の手を引ける程
僕は強くはないからさ
君が来る筈ないこの場所で
君が贈る筈のない人生で
君が居た街に愛を込めて
君を想って愛を歌う

君が居た街に春風が吹いた
あの日の記憶は残ったままで
過ぎ行く時間の、巻き戻しは効かずに
僕ら、大人になってしまった

拝啓、
愛していた君へ
幸せで居てくれよ元気でね
たまに、少しだけ思い出してね
じゃあ、またね、サヨナラ
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