散る花を

つぶさに見て来た……刀の時代の終わりを。
新しい感情はわかなかった……
俺はそれを既に見ていたから、見届けていたから。
呆気なかった……

「あえて言うならそれが新しい感情だ。
向き合うべきところはそこじゃなかった。」

想像をする……
それはきっと誰しもが通る道だ。
俺だけじゃない、そう誰しもが……。
もしこうじゃなかったら、
歴史が変わっていたら、
かつての主が生きていたら……。

「俺は何も変わらなかったと思う。
かつての主はそういう役割じゃなかった。」

好きだから、美しいと思うから、
きっと世界を変えてしまうような何かを
成し遂げるはずだと、そう思いてえけど……
そう思いてえけど……

「違う、そうじゃねえ。」

江戸で芽を吹き、
京の都で咲き誇り、
北の大地で散った一輪の花。
花が歴史を変えるか否か、
そんなことはどうでもいい。
美しかったのだから、それでいい。

「でも、河の流れが変わったらどうだ……
咲く場所が変わったら……」

想像する。
芽吹くこともなく、咲くことは無い。
大輪の花として咲くかもしれない。

「どうだ……否、違う。」

それは俺の知っている花じゃない。
俺が美しいと思った花じゃない。

「奪うな、俺からあの人を。
美しかろうが、咲き誇ろうが、俺は俺の花を愛でる。」

想像する。
歴史が変わることを。
想像する。
あの人がより輝く世界を。
どうすればそうなる。どうしたらそうなる。

「想像するんだ。」

想像して、想像して、想像して……
想像して、想像して、想像して、想像して……

そうならない世界を、
そうならない歴史を……守る……俺は、散る花を。

「奪うな、俺からあの人を。俺は俺の花を愛でる。」

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