幽霊ヶ丘

とうに見頃も過ぎ去りて寒空に穂を揺らす芒原
誰の面影を そこに重ねてる

孤独を望む逃げ場を探す必要のない命もあると知る
想い遂げられた とて続かぬだろう

風もなき 悠久の丘にて
綴ったいたずらな恋を
迎えに来る人ついぞ現れず
絵空事の朱い火燃ゆ

見渡せども幻影ばかりでどっちつかずの足場に吹き溜まる
野分裾濡らす 恋路よるべなく

風ゆらぎ 幽閉さるるここへ
吹いたうちひさす京の
謡い踊る息吹不意に胸を打つ
絵空事を望んでいる

風すさび 幽霊ヶ丘にて
願ったとこしえの愛を
迎えにゆくにはちょっと遅すぎた
絵空事と憂いて消ゆ
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