あいつ

休日目を覚まして窓を見上げたら
つまらないくらいに空は曇ってて
とりあえず伸びをして欠伸を出したら
あいつの寝顔を何故か思い出した

今日はバイトもないし寝癖も酷いけど
憂鬱とした空気が気持ち悪くて
暇潰しにとライブハウスに行ったら
あいつの見慣れたギターが置いてた

もう嫌いだ、もう嫌いだ
これ見よがしにステージに立って
もう嫌いだ、もう嫌いだ
こっち向いて
もう嫌いだ、もう嫌いだ
変に格好つけたような顔で
もう嫌いだ、もう嫌いだ
ギターを弾いて

見たくないものばっか見せてくれやがって
聞きたくないものばっか聞かせてきやがって
私の脳内を占めるものの何処かで
貴方の顔がチラついて仕方がないんだよ

寝間着にいつも着てたあいつのTシャツは
押入れの一番底に眠ってて
久しぶりに出してみると
やけに嗅ぎ慣れた匂いがして
なんかちょっとだけ寂しくなってしまうんだよ
もう嫌になるな

もう嫌いだ、もう嫌いだ
もう嫌いだ、もう嫌いだ

見たくないものばっか見せてくれやがって
聞きたくないものばっか聞かせてきやがって
私の脳内を占めるものの何処かで
貴方と居たあの夏を忘れられないんだよ

君はどうだい?君はどうだい?
そのステージの上からなら
私が見えてるかい?
見たくもないのに、聞きたくもないのに
何故か泣けてきて仕方なかった
何も出来ずにただそこに立ってた
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