放浪かもめ

日暮れ海鳴り 聞きながら
お酌する手も なれました
流れ女の 身の上を
あれこれ聞かれて はぐらかし
「かもめ」と言う名の 仇名(あだな)をもらい
港はずれで 空騒(からさわ)ぎ

酔いにまかせた 口説きでも
どこかうれしい 朱(あか)い頬
みんないい人 ばっかりで
どなたのものにも なれないと
「かもめ」は陽気に すいすい渡り
暖簾しまえば ひとりきり

出船入船 盛り場は
恋も一夜の ものがたり
胸に眠った はずなのに
夜明けにうずくの この傷が
「かもめ」と言う名の 仇名(あだな)をもらい
飛んで行きたい 人がいる
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