目下II

大前提 このまま生きていたって幸福であるとそう分かる
最低限 日暮しを続けていたって動物でさえいられない

呼び水に誘われ、充てのない旅で
替えのない靴底を減らしている

欲を言えばどうか豊かに、能ある鷹にともすればいい
簡単なことさえ疎ましいこの停滞の最中で
毒を飲んで胡乱な目で俯いてくれと通る異邦人
その目や鼻の数は同じなのにどうしてかあれは味方じゃないようで

自ずから再現性 そればかり求めていたって驚きのないことに気付く
アンチテーゼ 論理もなくただそう叫んで意思があるなどと喚いている

根気よく今日も生きて、相対するケバいハイセンス
肺潰して登る坂を正しいなんて思えなくないなんて

即物すら目下素晴らしい、こんなウワバミにやれ投げる石
惨憺たる日陰の湿り気にまとう泥寧の不確かに
はみ出しては寄る辺の無さの有り様を論う意味失くして
その絵や花を愛でるやり方さえ口を出させてはくれまいか

勘違いを誘うレトリカルな物語に
貴方の生き方を騙されてはいけないと切に願う事の
欲望の醜さを等しく愛しく思えたらいいのにな
僕らは衆愚であると気付いて

欲を言えばどうか豊かに能ある鷹に、と葬る墓に
蒔いた種に花が咲きますか、ああそれは綺麗ですか

酷な話、どうにもならないどうしようもないこの日々にすら
解体を目論む被害者がこの胸の中にある
逃げ隠れて痛みを避けて無様を晒し、もののあはれだと
見ているようで見ていないこの眼を許さないが潰さない
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