花の巵

散り交う花に 誘われて
手にまかせて ひとり酒
はらはら よよと
はらはら よよと

うつつはどちら
ゆめはあちら
西か 東か
天か 海か

うつつはこちら
ゆめはどちら
右目(みぎ)か 左目(ひだり)か
しろか くろか

「…それとも、あかか」

花の巵 覗き込み
口に随(したが)い ひとり詩(うた)
はらはら よよと
はらはら よよと

春のうららに 迷い込み
きみは旅人 誰(たれ)の待ち人

「『曇りなき 心の月を 先立てて
浮世の闇を 照らしてぞ行く』」

うつつはどちら
ゆめはあちら…

うつつはこちら
ゆめはどちら…
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