夏雨

淡い夢を見た
昨日の君が
ふと見せた笑顔に

誰も知らない
微熱を胸に抱いていた
夏雨ひそかに

でもね もういいの
やだね ってもういいや バカね
足音が遠のく
君に手をふる

夏の日 追いかけてみたけど
届かなくて歩みを緩めてく
いつまでも 続くと思ってた
あの頃みたいにいられなくなってく

いつも見ていたその横顔が
眩しすぎるからきっと愛おしい
そう思えてしまうのは
あの日の私が知らなかった
雨のせいなの

雲の隙間にも
陽が差してきて
駅へ向かう途中で
君がさりげなく口ずさんでた
あの歌がまだ離れないの

ふとね 触れたいと
気づけば 思っている
思い出のこの場所に
今も来てしまうの ねぇ

じゃあね って君は言う
私の気持ちも知らないで
またね って笑い返す
ほんとはまだ一緒にいたいよ

今更な気持ち やっとね 見つけたんだよ
ちょっと照れくさいけど

空が晴れていく 虹が登り光る
君の声が聞こえる

好きだよ まだ離れたくない
言えないのは
きっと大人になったから
いつの日か 届くと思ってた
あの頃と違う私を見て欲しいの

少し伸ばしかけた前髪と
ちょっと背伸びをしたメイクにも
気づいてくれればなんて

わがままだなんて 知っているんだ でも
あと少し もう少し このままでいたい
夏雨の余韻に残るこの
微かな熱に
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