ひとめ惚れ

ぬるい部屋から覗いた
窓にくり抜かれた空が
短い雲に網をかけ
捕まえようなんてしてた夏
可愛いあの子を誘って
意味もなくキスして驚かせて
長い休みの少し前に
捕まえておこうなんて思ってたのに

空回り
腹減れど喉も通らない
転がすつもりが転がされ
気づけば踊らされ

可愛いだけが取り柄と
思っていたはずの君が
化粧と浴衣で見違えた姿に
ヒトメボレ
焦った心を誤魔化すように
目を逸らしたって...
あぁ、これが恋か?

捕まえた蝶に逃げられ
また追いかけて転び血が滲む
これまでと同じ展開の
未来にはしたくはない

もしいつか蜘蛛の巣に
囚われそうになる時が来ても
食べられる前に僕が
助け出すから待ってて

格好つけるのが得意な
見掛け倒しなこの僕の
矛盾も弱さも混ざって溶けて
ヒトリジメ
させてあげるから
僕の元で羽広げて
踊ろうよ いつまでも

美しい夏の花火や
祭りの灯りよりも儚い
一夜限りの浴衣姿にくらり
一秒ごと 新しい君に
ヒトメボレ

花が散る音に紛れた
声を聞くために近づいた
僕の頬に突然キスした君に
ヒトメボレ

可愛いだけが取り柄と
思っていたはずの君の
僕には足りないその大胆さに
ヒトメボレ
次から次へと打ち上がる魅力に
僕は何度だって...
あぁ、これが恋だ。
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