襲撃

夜を裂いて かけてゆく
ぼくは とどかないひかり
どこにもない 宛先で
だれにも 読まれない手紙

あの日 ぼくが手を組んだ
みにくく つよいものたちと
あの日 ぼくが手を切った
ひとりの ひとりのともだち

くちびる つげる ゆきさきを
ぼくは追わずに ただふるえていた
みつめる ふせる といつめる
夏に埋めた しじまのうらぎり

襲撃 ぼくをだいて ひとこと
わるくおもうな、と
それだけで いいのに

襲撃 そして 息絶えるまで
見下ろしてくれ
涙も こぼさないで

終劇 さばけ ぼくを
もだえた 幾千の夜の
せめての あかしに

終劇 もどれるなら
ひかりとなり かけてゆく
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