声を失った人魚姫

ある日のこと僕は声を失った
悪い魔女と契約した人魚のように
声の出ない人魚なんてそれは歌姫でもない
誰かに操られた ただの玩具

そもそも歌は上手くない
中途半端なその声は聴くに耐えないかも
それでも歌が好きなの
歌えないこの世界なんて生きる価値もないよ

歌いたくて仕方ないの
なのになんで?恐ろしいこんなこと
声が出ない 音が出ない
夢が叶わなくなったらどうすればいいの?
どんな犠牲 払っても お願い奪わないで

ある日のこと僕は気づいてしまった
何かを犠牲にしてまで欲しいその声は
本当に?必要なの?
努力も無しに得られる
そんなものは美しくないってことを

ダイヤをそっと磨く様に
大切に扱わなきゃね
いつか声は戻ると信じ諦めぬことと
鋭い刃が心を支配しても

美しく歌えない姫 それが自分
それでいい それがいい もう何も怖くはない
夢は ねだらずに 勝ち取らなければいけない
海の泡になってもお願いここにいさせて

あなたの歌は美しい(自信がないの)
人に寄り添える(そんなことない)
時には涙を流すくらいに(兎に角怖くて涙を流すくらいに)
あなたの声で
私の声で
堂々と歌えばいいの(いっておいで 大丈夫)

今出来る私の歌 それでいいんだ
ありのまま 思いのまま
自由に スターのように
君が変わらずに 隣で信じてくれるから
どんなことがあっても 僕は歌い続ける

ある日のこと急に声が戻った
今すぐに伝えたいこの感情を
かよわい音 拙い歌 まだまだ未熟だけれど
少しで良い この歌を聴いてほしい
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