吹くからに

水の流れにゆらぎ
居座る浮き草
ふるさとを思い
じっと灯台を睨む

この坂道を何度と
うなだれてくだり
切れた街灯の並びに
離れた心は揺れて

秋空に
ふわり運ぶ
畳とけやきのにおい
賑わう街を他所の眼に
埠頭に向かって駆ける

吹くからに
草木なびき
山風が戸板を燻らす
サドルが小寒い坂道
師走の面影なんてな

人と空気に混ざり
何食わぬ顔で
やはり今日もまた
ゆるりあの坂を下る

甘いあんかけの味
なんだか苦しい
この街がやさしいなんて
とっくに気づいていたよ

誘う水
鳥さえずり
背中をひかれるように
この場所で過ごした時が
夢だったなんて、ないか

潮風が
花をちらし
穏やかに心揺らす
忘れ物がいくつもある
このままここにはいれない

全てなかったことなんてない

秋空に
ふわり運ぶ
畳とけやきのにおい
賑わう街を他所の眼に
埠頭に向かって駆ける

吹くからに
草木なびき
山風が戸板を燻らす
サドルが小寒い坂道
師走の面影なんてな
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