淡雪

懐かしい香りに
振り向いてしまうのはなぜ
いるはずもないのに
悴む指先

駅前のショーウィンドウ
今ではひとつの影だけ
あなたに似合いそうなマフラー
見つけたって届かない声白く空に舞う

淡雪のように溶けて
あなた忘れられるなら
前を向けるの
なのにどうして
想い出は積もったまま

平気なフリをして
頷いた最後の夜
涙くらい見せてたら…
なんて馬鹿みたい

おやすみの電話が
私の子守唄だった
眠れない夜はどうして
こんなにもスローモーション
夢でも逢えたなら

淡雪のように消えて
過去に置き去りにしないで
忘れたくない愛しいぬくもり
もう一度抱きしめて

淡雪のように溶けて
すべて忘れられるなら
前を向けるの
なのにどうして
想い出は積もったまま
もう一度抱きしめて
愛している今もずっと…
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