贈花
互いの愛の証明と謳う遊びは
刹那、心を満たして
そしてなにも残らないもの
花を贈るようなものだと思えたらいい
窓際に飾って、枯れるまでの間に
茫漠とした日々に積もる憂鬱を
少し和らげるくらい
意のままにならないことを
裏切りと呼ぶのは
ただ孤独を嘆くのと
どこか似た
甘い香りがした
その顔も声も心も知らないまま
思い出になればいい
どこへでもいける自由を
あなたと分かち合うのは
私じゃない
明け方の気温で我に返る
いつかの回想
汗ばんだベッド
高鳴る心臓に
一度刺さった棘は早々
容易く癒えないもの
夢を見せることしか出来ないような
薄く脆い関係で構わない
あなたが夢のなかにいる間だけは
束の間、痛みを忘れられる気がするから
窓際に飾った花が枯れるまで
言葉一つも交わすことのないまま
あなただけを信じたい
意のままにならないことを
裏切りと呼ぶのは
ただ孤独を嘆くのと
どこか似た
甘い香りがした
その顔も声も心も知らないまま
思い出になればいい
どこへでもいける自由を
あなたと分かち合うのは
私じゃないけど
あなたに一輪の花を贈る
いつか忘れてしまえるように
あなたがくれた時の長さが
互いの愛の証明
刹那、心を満たして
そしてなにも残らないもの
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