右手のネイル

右手のネイルは君が塗って
利き手じゃないから
ちょっと困ったかおで
仕方がないって
私の手を握る

本当は大して私が塗っても
下手ではないけど
動かないように
もう少しだけなんて
触れる理由にして

ささくれた指先
不細工な爪でも
それでもいいかなんて思えた
はみ出した右手のネイルに

離れて分かるなら
手を握って
話せる時教えて
君に頼ってばっか
いなくなった
今も癖で甘えてる

右手のネイル私が塗った
君がいないから
一人になって気づいた
乾くまでって
こんなにかかること

本当はあの頃君が塗ったのは
右手だけじゃなくて
私の日々も色づけてた
ほらね剥がれ落ちている

ささくれた指先
不細工な爪でも
それも君ならいいって言った
言葉が右手を濡らしてる

離れて分かるなら
手を握って
話せる時教えて
鼻刺す匂いは君が
いなくなった
部屋を隙間なく埋める

もう冬になっても
手を握って
あたためてくれないね
君は冷めきって去って
いなくなった
私だけあたたかった

ささくれた指先
不細工な爪でも
それでもいいか いつもより
はみ出さず塗れてるネイルに
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