青嵐

いつもの公園 ベンチにもたれて
何となく遠くを見て ただ息をする

目の前を通り過ぎた 二つの影に
話しかけられなかった あの子の姿を重ねた

「もしあの時勇気を出せていたら」
なんて考えてた
切り取られた 桜の森の中で

青嵐が吹いて たった今
思い出したよ 小さな街を
壮大な 高明な未来なんて
描けないけど
それでもいいかな
いいよな

幾億光年の 時をまたいで
同じ場所 物語が続いているんだな

そんな想いを ただ寄せる間もないくらい
荒々しく急かすような うねる時代の流れ

「今だけは全てを忘れて心揺らそう」
そんな願いを 見届けてきた
広いこの空の下で

青嵐が吹いてたった今
思い出したよ ここにいる意味も
正しくて 確かな理由なんて
語れはしないけど
それでもいいんだ
いいんだ

青嵐が吹いて光さした
抱きしめているよ 変わらない想いを
壮大な 高明な未来なんて
描けないけど
今があるならいいんだ
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