欠けた歯車

欠けた歯車 まだ回ってる
誰かがそっと 手を差し伸べたから
愛する君と 同じ時の中で そう 流れ続けていた

5分遅れる 欠けた歯車
それでも君は ボクを捨てなかった
だからボクは 辛いことがあっても 君のために歌うんだ

ボクは君の 目覚まし時計
君を起こして 学校へと送る
愛する君の 今日一日が 又せわしなく始まる

恋をした君 失恋の朝
なぐさめのチックタック チックタック ボクは歌いつづけた
ボクの下手な歌 なぐさめになったかは ボクには分からない

チックタック チックタック 調子は悪いけど
一生懸命歌う 欠けた歯車 欠けた歯車

やがて君は 奥様になり
ボクのベルが 朝一番に鳴る
愛する君と 賑やかな日々の 季節は巡ってゆく

笑い声が 増えてゆき
ボクのベルは 幸せのベルだった
寝息を立てる家族と 刻む年月 時代を超えてゆく

ボクのベルが 鳴らなくなった
年老いた君が いなくなったから
ボクのネジを巻く 優しい指先は 二度と戻らない

さびたボクは もう動かない
ほこりにまみれ 歌も忘れ果てた
ある日 君の家族が ボクのネジを巻いて 目覚ましをかけた

チックタック チックタック
5分遅れでも 欠けた歯車でも ボクは歌う 今日も歌う
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