最後にひとつ

大掃除で見つけた段ボール
ガムテープを剥がす
よく着てたコートのポケットの中
古いレシート タイムカプセル

わたしは飲まない缶ビール
わたしは吸わないセブンスター
あなたに捧げたもの全部
返して欲しいと泣いていた影はもう消えそうだ

最後にひとつ

なんでもないなにものでもないわたしを受け入れてくれたのは
その瞳で録画し続けてくれたのはあなた
彼女と呼んで 好きだと言って
名前を囁いてくれたのは
あなた以外誰もいない
さらば もう恨んでないよ
どうかおしあわせに

「これからの人生誰のことも
愛さないと思う」と
フラれた日にあなたに伝えたこと
忘れてほしい 勝手だけど

死ぬまで消えない傷になれ
苦くて幼い願い事
ごめんね ほんとはわかってた
あなたがいないとわたしの存在がなくなりそうで怖かったんだよ

もう大丈夫
この手に持てるだけのしあわせが
似合うわたしだから

なんでもないなにものでもない
わたしは何者かになれたよ
あなたの影を踏まずに
1人きり日向を歩く

彼女と呼んで 好きだと言って
名前を囁いてくれたのは
あなた以外 誰もいない
さらば もう思い出の果て
どうかおしあわせに
おしあわせに
×