始発前

口下手なのはお互い様
でも別れの一つもないなんて
悲しくはなるさ
いやでも覚えた癖 忘れなくちゃな

要するに君はもう答えを出していて
呼び出したものの話を切り出せなくて
結局今日も 2人部屋の隅
蹲って 蹲ってるだけ

ああ 始発前 君が寝る部屋で
僕は 僕の残骸を集め出てゆく
ああ 始発前 まだ暗い部屋で
声を殺して 泣いた 泣いた

口下手なのはお互い様
でも文句の一つもないなんて
情けないよな
重くなる鞄 ぼやけていく

ああ 始発前 君が寝る部屋で
僕は 僕の残骸を集め出てゆく
ああ 始発前 見送らないでいいよ
わかってるよ

久しぶりに見た君は
変わらない寝顔をしていた
もう会わない ここにも来ないから

ああ 始発前 駅のホームで
買った水は君がいつも飲んでいた
ああ 始発前 フェンスの向こう
朝を知らせた空が 嫌いだ

ああ 始発前 電車を待つ

背中を向けたままの君に言った
「さよなら」
震えてた
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