木登りと赤いスカート

5年ぶりの大雪の朝 ふたり出会った
小さな君が背のびして 開けた2階の窓辺
偶然僕が降り立ったのさ

あれからどこへ行くのもいっしょ
笑いじょうごだけど泣き虫の君は
ぼくの羽根でナミダふくから
いつだってぼくはびしょ濡れで困った

ぼくがむかし天使だった頃に
君はすべての世界が見えた
すべてと話ができた

学校にあがる初めての日
ちこくしたぼくたち
女の子のくせに君は木登りが得意
いちご摘みに夢中で迷子になったり

そしていくつの冬と春と夏が過ぎたっけ
きゅうに君は無口になった
胸のポケットで元気づける
ぼくの声ももう聞こえない

ぼくがむかし天使だった頃に
君は毎日 夢見てすごした
すべてがかなうと信じた

大人になった君の目に
ぼくの姿は見えない
天使の僕もナミダを流すってこと
初めて知ったよ そのとき

つばさ棄てたぼくが君に出会ったのは
2年前のやはり雪の日で
見間違うくらい美しくなった君が
目の前に立っていた

ぼくはいまは天使じゃないけれど
二度と天使に戻れないけれど
君がしあわせにくらせるように
ずっとそばにいてあげる
君を悲しませるもの
すべてからまもってあげる
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