十日の菊 feat.梓川

誰もいなくなって
僕のいる場所も少しずつ解らなくなっていた
空白を埋めるのも諦めた頃に僕らは大人になれた気がした

憂鬱を水に溶かして飲み込んだ
少しずつ重くなる瞼のその先に映った不安や焦燥が
繰り返し反射して大きくなってどうしようもない

簡単に片付けられなくて

僕を残して嫌わないで
全ての現象から乖離してしまいたくて
心はどうしようもないみたいだ
僕は視線を逸らしていた
どこか遠く誰も回帰していない方へ
黒く浮かんだ孤独と目が合った気がした

空腹は実に確かな感覚だ
限りなく透明な生命を口に運んで咀嚼した時に
深い業を感じて吐き気を催した

人生は後悔の連続だけど
諦めることが正解なのか

僕を残して黙らないで
関係の外から解釈を挟まないで
言葉は酷く掠れてしまった
僕は期待をしないでいた
幸福の病に介錯されないように
利口になった自分が嫌だった

僕を残して嫌わないで
全ての現象から乖離してしまいたくて
心はどうしようもないみたいだ
僕は視線を逸らしていた
どこか遠く誰も回帰していない方へ
黒く浮かんだ孤独と目が合った気がした
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