ガラスケース

壊したくないものは大事にしなさいと
でも宝石のように美しい貴方は
宝石のようにはいかないみたいで

“好き”はまるで刃物みたい
使い方次第 簡単に傷つけ合えるけど
ナイフはケーキを切るために使いたいの

綺麗でなくていいから
不恰好なままでも二人で居たい
痛いほど知っているから 別れが怖い

貴方をガラスで囲んで飾れたら
傷つけることもないでしょう
でもそれじゃ貴方のこと
抱きしめられやしなくて
壊してしまわぬように 毛布のように触れたい

この手でまとめて抱えた
貴方への好きと嫌いの
どちらか片っぽだけ
捨てるなんて出来ないから

なら貴方の全てを肯定したいの
よくあるラブソングに尋ねたいよ
“君を守る”ってどうやるの

貴方をガラスで囲んで飾れたら
傷つけることもないでしょう
崩れてしまわないように並べた
ドミノも不意に倒れていくように
こうして貴方のこと傷つけてしまうのが苦しい

貴方をガラスで囲んで飾れたら
傷つけることもないでしょう
私の一生のお願いは 一生の前に使ったんだ
“貴方のいる時代に降り立つように
出逢えるように生まれたい”

大切なものなんて
いくつも持てないでしょう?
だから私は少しでいい
だって“貴方と”がいいから

“隣に居れたらそれでいいんだよ”
と笑ってくれた貴方はズルいのね
私ばかりまた大切にされてしまった
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