洋子の…名残月

日暮れて鳥は 巣に帰り
瀬を行く魚は 岩の蔭
人は人ゆえ 人を恋い
人は人ゆえ 人に泣く
誰と語らん 秋の夜(よる)
旅寝(たびね)の空に 名残月

行方も告げず 吹く風は
梢(こずえ)をふるわせ 遠ざかる
花は花ゆえ 花と咲き
花は花ゆえ 花と散る
紅(くれない)燃ゆる 色香(かんばせ)も
移ろい行くは 世の運命(さだめ)

行く道はるか 山の端(は)に
夜ふけて流れる 星ひとつ
夢は夢ゆえ 夢を追い
夢は夢ゆえ 夢に酔う
汲(く)めど尽きせぬ 我が想い
旅路の果てに 名残月
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