目黒川

瞳が凪いでしまった日
鳥はいつものように鳴いていた
心の声に気付けずに
僕はいつものように

水は平凡に澄んで
人は毎秒忙しく

どれだけの会話を数えたら
縫いついた桜色解けるの
神泉駅超えた道標
不器用な左手の刺繍の橋は

あの子が散ってしまった日
鳥はいつものように鳴いていた
心 移ろう 薄氷に
鈍感な僕は今日も
笑ってた

瞳の凪に気付いた日
固結びされた扉
開けるにはもう遅くて
鳥はそれでも鳴いてた

ビーズが反射した絹糸も
少しずつ砕けては枯れてゆく
夜風に照らされた得意顔
もう一度 願う 目黒川

はなびら散ってしまった日
鳥はいつものように泣いていた
心 移ろう 薄氷を
僕はいつものように抱きしめた

また、笑って
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