雨の日ぐれ

別れたあの人は 心から
雨の日ぐれが 好きでした
一つ蛇の目に 二人して
仲よく歩いた 灯ともし頃を思い出す
別れたあの人は
心から雨の日ぐれが 好きでした

別れたあの人は 左の眼
右はわたしの 泣きぼくろ
ひとつジョッキに 頬寄せて
涙をビールの 泡に落としたたそがれを
別れたあの人は
しみじみと雨の日ぐれが 好きでした

別れたあの人は なによりも
雨の日ぐれが 好きでした
雨の小路を 今日ひとり
歩めばむかしの 思い出ゆれて 泣けて来た
別れたあの人は
なによりも雨の日ぐれが 好きでした
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