た・め・い・き

流れるメロディー あの愛の歌
もつれた糸をたぐるように
回転扉があの頃の風
運んで今夕暮れに

ためらう心にむなしく
過ぎていくざわめきに
よそおう仕草も色あせ
うつろう時刻(とき)にため息

追いかける程に若くはないと
心の傷につぶやく
二人の隙間に吹く風見えて
さまよう恋にため息

グラスに映したマニキュア
あの男(ひと)の好きな赤
想いの翼もとどかぬ
思わずもらす ため息

過ぎ去る面影見送り
この道をひとりで
コートの衿たて歩いた
せつなくゆれる ため息
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