酒連々

あの人この人 ひとり来て
お猪口を揺らす 止まり木酒場
ふとしたはずみで うちとけりゃ
手拍子はじまる 夜もある
昔の歌から 流行(はや)りの歌で
浮かれ酒 けんか酒 詫び酒 泣き酒 笑い酒
ガランと冷えた 人の世に
ぬくもり一つ 赤ちょうちん

しばらく会わずの 顔なじみ
変わりはないと 笑っていても
注ぎ合う徳利の やせた手が
苦労の月日を ものがたる
うそぶき上手に あいづち上手
憂き世酒 がまん酒 やけ酒 深酒 こころ酒
ほろ酔う背中 見送って
サラサラゆれる 縄のれん

三杯上戸(さんばいじょうご)に 底抜け上戸
祝い酒 偲び酒 夢酒 にが酒 なごり酒
肩寄せ生きる 人の世に
ほんのり灯る 赤ちょうちん
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