わかれざけ

握りしめた グラスの底で
コトリと 溶けてゆく氷
置いてきぼりを くらったような
この虚しさに 酒を注ぐ
泣くに泣けず 呑んで呑んで
酒が泪に かわるまで
呑むしかできぬ 別れ方
莫迦だと笑って いるだろうか

だれもいない あんたの席で
主(あるじ)の帰り 待つボトル
夜の長さを 噛みしめながら
ただやりきれず 目を閉じる
ひとりごちて 呑んで呑んで
酔えば隣に いるようで
忘れるなんて できないよ
あんたの代わりは いないから

心ひとつ 呑んで呑んで
別れ言葉が 言えるまで
こんなに苦い 酒なんて
知りたくなかった 莫迦やろう
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