お島千太郎旅唄

春の嵐に散りゆく花か
風にまかせた身は旅役者
更けて流しの三味線(しゃみ)の音きけば
すてた故郷に すてた故郷に
また涙

雁が啼く啼く旅空夜空
お島痛かろ草鞋の紐が
きょうも吹くかよ男体颪
つなぐ手と手が つなぐ手と手が
また冷える

清いこゝろで旅するからは
なんの辛かろ野末の仮寝
里で夜明けて峠で暮れて
月に夫婦の 月に夫婦の
旅すがた
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