田原坂の美少年

薩摩隼人(はやと)の 名にかけて
保塁(とりで)を護る 稚児ざくら
返り血浴びて 指させば
風雲速し 田原坂
雨は降る降る人馬は濡れる
越すに越されぬ田原坂

丸に十の字の 旗風も
篠つく雨と 敵の中
泣くな愛しの わが駒よ
囲みを破る 吉次(きちじ)越え
右手(めて)に血刀左手(ゆんで)に手綱
馬上ゆたかに美少年

花も蕾の 少年が
その香を散らす 戦場に
孤軍声なく 日は暮れて
虫の音悲し 田原坂
昔恋しや西南役を
偲ぶ田原の古戦場
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