酒造りの歌

心きよめて 柏手うって
臼の抜けるほど ついてついておくれ
米が白けりゃ お酒もうまい
あとは親方さんのヨ 腕次第

正月 門にはナ 松が立つよ
二月 初午ナ 馬が立つよ
三月 天卜でナ 船が立つよ
四月 八日はナ 釈迦が立つよ

向こうはち巻 いなせな喉を
灘の娘が ちょいときてのぞく
女入れない 酒蔵なれど
ほんに親方さんはヨ 色男

九月 稲刈りナ ハザが立つよ
十月 出雲にナ 神が立つよ
霜月 坊主がナ 門に立つよ
師走 コタツのナ 足が立つよ

祝儀袋を さらしに巻いて
戻る越路の 出稼ぎ峠
酒を土産に 嫁ごもつれて
さぞや親方さんはヨ 嬉しかろ
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