小春月夜

橋の数より 苦労の数が
増して 浪花の春がゆく
今日も戻らぬ 三吉さんに
可愛い小春の 小春の物思い

無くて七癖 やさしいひとに
なぜに勝気の 勝負癖
親子旅でも なにやら淋し
京の夜ざくら 夜ざくら紅ざくら

勝てたその夜の 男の笑顔
負けて女の 忍び泣き
みんな知ってる 将棋の駒が
月につめたく つめたくひかる夜
×