秋うらら

色めいて秋うらら
別れが近づいて

花やいで晴れ霰(あられ)
まだ僅か繋がるその葉に触れて
落ちて

秋の夜長 月の下 独り
誰かのことを考えた
見上げた ひび割れた空 ぽつり
枝の隙から頬に触れた

取るに足らない
そう何気ない日々のどこかで
近づいた終わりが見えて
心は形を変えて

いつだって何かが足りないの
ねえ この手を取って連れ去ってみてよ

色めいて秋うらら
憶(おも)うまま募り紅色に染み凩(こがらし)が攫(さら)う

どうか叶うなら 褪せぬまま
繋いだまま離れずいられたら

色めいて秋うらら
枯れる花はらり
仕方ないって言って
でもね、悲しいな

どうせ散るのなら
望むまま 描いたまま
醜くも生きよう

冬の気配を帯びた風吹いて
少し君が遠く見える
進むのを躊躇うのは
今が変わることを恐れるから

ほら別れの時が近づくほど
色づいて美しくなるものよ
昨日も今日も明日も全部
いつか来たる終わりを彩る

皆老いて枯れるから
それでもね 怖いや
また置いてかれるなら
今すぐに迎えに来て空風(からかぜ)よ

色めいて秋うらら
憶(おも)うまま募り紅色に染み凩(こがらし)が攫う

冱(さ)えて枯れる葉が散ることも
世界の一部だと思えるの

花やいで春うらら
生きてまた見たい
明日より遠い 届かない距離

どうせ散るのなら
今だけはまだ美しくなくていい
生きたい
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