海から

表面張力の街に雨が降りだした
エンドロール間近の切り抜きみたいに
得意の鼻歌で夜を切り裂いて
主人公みたいに笑ってみせた

確かな事は不確かって事だけ
不確かを確かめに行く旅の途中

春の枕木を越え、夏を齧り
秋の稜線踏み締め、冬を吸い込む
誰もいない海にも僕はいたし
誰もいない朝にも鳥は鳴くし

確かな事は不確かって事だけ
不確かを確かめに行く旅の途中
砂つぶにまみれても風にさらわれ消えても
振り返れば確かに旅の途中
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