ポプリさん

ああ 酷く混んだ交差点ですれ違う
喫茶店の話かけられない遠い席で
栞はさむポプリさん
ああ 砂糖ひとつ紅茶に放りこむ
少しだけネットで話題になっていた本は
途中で飽きたみたい

執着的な愛を
また人並みのセンスも
それなりには持っていた僕の瞳は
甘い香り添えて揺れるスカート
躍る脚の先までを映してたはずだった
産まれてくる前の方が君は
綺麗だったよ ポプリさん

ああ 一つ前のバスに乗り込む
苦しくてもう息も吸えない霧の向こうで
顔を変えるポプリさん
ああ 砂糖ひとつ口に放りこむ
その指は おんなじ形だった
当たり前だけどね

ああ
この手の中
やさしく笑ってた
今も んなわけないな

愛を
また人並みのセンスも
それなりには持っていた僕の瞳は
甘い香り添えて揺れるスカート
躍る脚の先までを映してたはずだった

板切れじゃ 香りのしない花じゃ
会いに行けるわけが無いの君には
ああ もうやめだ 住む世界が違うんだ
去っていく後ろ姿 静かに見送っていた
産まれてくる前の方がきみは
綺麗だったよ ポプリさん
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