静謐なる虚飾楽園

安寧を願って どれだけ祈りを捧げようと
幾度も繰り返す その身全て滅ぼすまで

尽きない欲望が 形変えた戦争の火花
汚泥啜るように心根を腐らせていく

僅かな まやかしの慰めも
生きていくための《絵空事》
描く 希望をその手に
見出そうと翼を広げて

縋れ《創造神》の声に
愚かな現実 目を逸らして
救いさえ非現実だと言うなら
この手で作り出そう

閉ざされた未来を背に
争いに嫌気が差して
寄る辺となるは 幻想に咲く
色とりどりの物語

歌や絵や配信で 作物が育つわけでもなく
痺れを切らせた国は 不意に“それ”を定めた……

遍く芸術の類を 厳しく取り締まる法律
抗う声も掻き消して 耳障りな騒音と見做した

塞げ《創造神》の声を
従わぬなら重き罰を
「違反者」と排斥されるのなら
五線譜にお別れを

閉ざされた今は何処に
奪われた楽譜とキャンバス
燃え盛るのは寂しさだけか
それとも何か別の炎――

美しく佇む城壁の 街は音一つもしなくて
それが安寧と言うのなら
この両手で壊してみせよう

縋れ《創造神》の声に
愚かな現実 見つめるため
迫害と戦う気があるなら
ほんの少しだけ愛を

静謐なる虚飾楽園
旋律は序曲を奏でて
どんな悲劇も 見届けようか
今紡ぎ出す物語
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