透明な翼

向こう側を夢見る鳥
初めは、憧れるばかり
木々の額縁が成す檻
あの空、裂く翼を見やり
大きな身体ならば
強い風が吹いてたのなら
あの空は僕のものだっただろうか

それならそのままだって良い
羽ばたけないままだって良い
背中撫でる風ひとつ
微笑んでいた
僕らの夢になった日だ

誰も見向きさえしないストーリーから始まった
それで良い それで良い
小さく確かな浮遊感
地面を蹴っ飛ばして 向こう側へ駆けていけと
あの日付けた足跡は君だけが知ってる

向こう側を夢見る鳥
君がふわり吹かす風に
緩やかに世界は開き
ただ小さな己を知り
この青空の最果てを
目には映らぬ終点を
記憶に咲かせたいと胸が叫ぶ

孤独な祈りならば手放せたでしょう
君となら終わりはいらない
あの日のゴールの先へ

誰も見向きさえしないストーリーから始まった
今でも 今でも
飛べない鳥が僕の中
地面を蹴っ飛ばして 向こう側へ翔けていった
あの日付けた足跡を今見下ろしている
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