八月の水鏡

覗き込んだ水面に風
万華鏡の中壊れる 蒼い月
宵闇 ひらいた水蓮

髪を梳(す)くたび耳もとから
黄金(きん)の火の粉 空に散かし
愛してと 何度もささやく
あなた誰(だあれ)

紅蓮(あか)いマニキュア
指先に燃え切なく
(人生(ひと)は刹那の夢の淋しさ)
水中(みず)に浮かんだ月をつかめば
消えてゆく幻(かげ)よ

あなたは何処からねぇ来たの
私を何処へ連れてくの
抱きしめて
命が壊れるくらいに

銀のワインに呪文唱(とな)え
口移しに夢を見せて
水晶に映ったあなたは
私似てる

紅蓮(あか)くルージュが
闇を切るよに燃えだす
(夢は刹那の人生(とき)の優しさ)
水中(みず)に浮かんだ月をつかめば
消えてゆく幻(かげ)よ

覗き込んだ海を揺らす
万華鏡の中壊れる 蒼い月
吐息で 水蓮に変わるよ
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