霧のわかれ

白い霧が 埋める駅へつづく山道
わざと足を早めて 歩く人がかなしい
いじめないで下さい
私だってつらいわ
燃えてそして別れる 巡り合せだったの

青い森の梢に 星が一つ流れて
甘い花のかおりが やみにゆれたあの夜
早く逢いたかったわ
せめて夏の始めに
熱くほてる背中に 秋が来てるなんて

白い霧にのまれて 汽車が影になってく
窓の中の貴方(あなた)が 遠い人になってく
さがさないで下さい
夢を見たと思って
山の宿の女は 山の宿で死んだの
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