私は彷徨(さまや)ふ トランク一杯思ひ出詰めて

東京(とうけう)の出會(であ)ひ タンゴ奏(くわな)でるダンスホオルで
ヒイル脱ぎ捨て 夜が明けるまで踊つたものね

別(わくわ)れの日が來て 急(きゆふ)を告げる生命線(せひめひせん)へ
夜の滑走路(くわつさうろ) 銀の翼 飛びたつて行(ゐ)つた

東亞(たうあ)の明日は 二人の定め
堅(くわた)ひ誓(ちくわ)ひは その日が來るまで

私はうたかた 大河(たひが)の流(なぐわ)れにこの身を任(まくわ)せて

再會(さいくわい)したのは 粉雪の舞ふ大連の街
凍てつく肩(くわた)に 貴方のオヲバア掛(くわ)けてくれたワ

薄明かりの中(なくわ) 確かめあつても束(つくわ)の閒の夢
プラツトホオムで遠(たふ)ざかり行く列車を見つめて

東亞(たうあ)の明日は 二人の定め
堅(くわた)ひ誓ひは その日が來るまで
まふすぐ登るワ 朝陽が登るワ
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