別れの歌

きみのまえに 蛍もいなければ
雪もなかった
まどろみの中で 歌はおわり
まぶたの先で 沈丁花が匂う

きみのまえに 光あふれ
空へとのぼり
大地へ降りて まぶたの中で
漂うのは 鳥かもしれない

きみのまえに 漂うのは
鳥かもしれない
どこへも飛ばぬよう どこへも行かぬよう
けれど鳴き声は 世界中にひびく

きみのまえに 蛍もいなければ
雪もなかった
まぶたの先で 沈丁花が匂う
どこで生まれたのか この悲しみは
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